#06 カミングアウトは慎重さが大事

セクシャルマイノリティの世界でもそうなのだが、自分の中の重大な物事を周囲へ向けて「カミングアウト」するということは一種の「賭け」に近いものがある。

まず最初は「カミングアウトをするか? しないか?」から始まり、「誰にカミングアウトをするか?」「どんな風に言えばいいか?」「相手に不快感を与えたりしないだろうか?」「カミングアウトをすることで、今までの関係が壊れたりしないだろうか?」当事者は色んなことを考えると思う。

私の場合はまず確定診断が下りある程度の治療方針が固まった日に実家の母親に伝えた。あとはフリーランスの仕事関係でお世話になっている人たちに。治療の関係で仕事がしばらく出来なくなるかもしれない、と。

それから、趣味でやっていたSNSでもフォロワー(500人くらい)向けにヌルッと告知を。まあタイムラインに書き込みは流れて行くだけだから、気付いた人だけまあ知っといてね、くらいのスタンス。実際に面識のある人もフォロワーには沢山居るので、いちいち個別にメッセージを送って伝えて行くのは面倒だなと思った次第。

そんな中、カミングアウトに対する反応は人によって様々だった。大抵の人は少し戸惑いながらもいわゆる「大人な対応」で、少し離れた位置から「大変だね」「お大事にね」「早めに見つかって良かったね」と社交辞令的に言ってくれた。実はこれが、一番私にはありがたかった。
(重大な病気をカミングアウトされて掛ける言葉も見つからない、なんて話をよく目にするが地味にその状態こそが一番マシだったりする。ビジネスライクな態度こそが輝く瞬間も世の中にはあるのだ。)

逆にとにかく困ったのが、「何でも言ってね」「何でも相談してね」「私が何でも助けになるから」といった声を掛けて来る人。端的に言えば「メサイアコンプレックス」持ちの人への対応にだいぶ苦心した、と。

一見するとすごく親切な人のように見えるが、その人に何でも相談して何でも頼ることを強制・脅迫されているようで怖かった。正直そっとしておいて欲しい、と思っていたのでこのような自他の境界線(バウンダリー)を無視し、かつ具体性を欠いたアドバイスや親切と善意の押し売りはキツかった。
詳細は省くけれども、治療へと向かう心の持ちようにかなりの悪影響が出そうだったので私はその関係を一時的にせよ恒久的にせよ、治療のために断つことにした。

なんと自分勝手な、とも思われるかもしれない。
しかし、私はこうして「まずは自分の命と心を物理的に守る」「その準備をする」第一歩を踏み出したのである。

くれぐれも、カミングアウトは慎重に。
世の中には合うも合わないも色んな人が居る。がんという病気を患ったことで見えて来る・変質する人間関係もあるだろう。病気に対する不安もさることながら、人間関係に対してまで更なる不安を持つのは良いこととは思えない。治療のために健全な土台を作っておく、これ、けっこう大事だと思う。

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