#07 さよならナベシャツ、ようこそノンワイヤーブラ

乳がんが発覚してやめたもの・こと。まず第一にタバコ。次にお酒。そして少し悩んで、FtM(女性から男性へ性別移行したい人、Female to Maleの略)やFtX(身体は女性だけど性別は男女のどちらでもない人、Female to X-genderの略)御用達とも言えるかもしれない「ナベシャツ」の使用を(一時的に)中止した。

「ナベシャツ」とはいわゆる「胸つぶし」でして、女性としての身体・胸がふくらんでいるのが嫌な人はこれを平らにするために補正下着としてナベシャツを着けたりする。私もかれこれ、その存在を知ってから20年近く……ほぼ毎日かな、使っていた。

しかしそんな胸に乳がんが見つかったからさあ大変。今まで通り胸をギュギュッとつぶして良いものなのか? 少し考えて、「つぶすのはやめとこうか」となった。
ただでさえ乳房内に30mm(こないだ検査したら一ヶ月で5mm〜9mmくらい大きくなっていた……ショック!)の腫瘍が存在するのである。こいつに外側から圧を加えて無闇に負担を掛けたところで何も良いことはなさそうだ。

ちなみにたまに話題に上るが、ナベシャツと乳がんリスクの関係性について。私個人としてはこれと言ったエビデンスも無いしこのふたつに関連性は特に無いんじゃないかなと。
確かにナベシャツ着用中は胸部圧迫による呼吸困難に気をつけてねとか、長期間の着用で胸の形が〜とか、色々気をつけることはあるけど。

そもそも同じ天秤に掛けるものでもないかもしれないが、自分の身体が女性であるという性別違和感による精神的苦痛の緩和と、乳がんそのものの治療・ケアというのはなかなか両立が難しいようだ。
まあ精神の安定と物理的な生命維持(につがなるかもしれない労り)と、どちらを取るかという話になると。私は後者を選んだという訳だ。

現実的な話、乳がんが見つかるとしばらく(状況にもよるが一ヶ月くらい?)は検査、検査、検査の嵐である。CTやらMRIやら何やら、その時に金具がある下着は避けた方が良いというか避けるべきであるので、金属のホックがありがちなナベシャツはそもそも乳腺外科の検査・診察に向かないんじゃないかなと。

そんな訳で代わりにお迎えしたのがシンプルでスポーティーなデザインのノンワイヤーブラ。近所のイオンの下着売り場とかに売ってた、メッシュ系で速乾性の800円くらいの安いやつ。
パッド一体型なので洗濯するのも楽で良い。パッド入れ替え式だとどうしても洗濯の度に取り出して……とか面倒になってしまうので。

クソッ、乳がん治療のためとはいえブラジャー着けるなんて精神衛生に良くない……とか思いながら毎日我慢して着用してる現状。QOLがダダ下がりである。

とはいえ、命あっての物種。トランスジェンダーっていうと心の性別が起点でそれを大事に、メインにしてるイメージがあったり、実際そうしている人も多いかもしれないが……私個人の立ち位置としては哲学的に言うと「実存主義」なのである。

「実存は本質に先立つ」というフランスの哲学者ジャン=ポール・サルトルの言葉が有名。あとはサルトルのパートナーであったシモーヌ・ド・ボーヴォワールの「人は女に生まれるのではない、女になるのだ」とか。まあこの辺の小難しい話はまた今度出来たら。

そんな訳でさよならナベシャツ、ようこそノンワイヤーブラ。
ブラジャーと言えば近々「CVポート」の埋め込み手術やらメインの乳房手術のために「前開きブラ」も必要になって来る。
隣町のユニクロに「介護系前開きシリーズ」が店頭にあるらしいので探しに行かないと。

それにしてもおっぱい、びっくりするくらい人生の邪魔だし元々要らないものなのにこうした病気のリスクまで抱えちゃって、ほんと「クソがクソが」と呪いを吐く現状である。

トランスジェンダーで乳がん。難儀なものである。

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