#15 CVポート埋め込み手術をやったよ
手術前抗がん剤治療を受けるにあたって、腕の血管が細くて見えない私は割と早い段階で「CVポートを埋め込みましょう」と医師から打診されていた。
Q:CVポートとは?
A:簡単に言うと点滴用のカテーテル。
Q:どこに埋め込むの?
A:私の場合は乳がんがある左胸の逆、右の鎖骨下付近だった。
【参考サイト】
「CVポートとは?」 (株)メディコン
造影MRIなど検査の段階で点滴の針を刺す度にブワーッと内出血、しかもそれが一箇所につき二週間経っても治りきらない……という有様だったので、何というか、もう、落第生の気分。ほんと、ウチの頼りない血管がすいません……みたいな。
そんなこんなで、人生初の(プチ)外科手術を受けることになった。しかも部分麻酔で。部分麻酔と言えばアレだ、嫌な思い出しかない「針生検」。アレも部分麻酔だった。
アレのひどいバージョンをやるのかー、と手術日が近付くにつれてどんどんションボリしてくる。手術日が初回抗がん剤投与から一週間後というタイミングのため、初めてのこと(ストレス)→さらに初めてのこと(さらにストレス)……と「恥の上塗り」ならぬ「心労の上塗り」である。
そして迎えた手術当日。もういやだ、もういやだ……と心の中で呟きながら病院へ。手術担当の看護師さんが迎えに来てくれて、手術室へ移動。「人生初の手術ですごく怖いんですよ」と涙目で内心を告白しながら手術台に寝る。
執刀医はどこかカジュアル?フランク?な感じの先生だった。「よろしくお願いします」と挨拶し、あとはもう「まな板の鯉」。
「人生初の手術」というのがもう怖過ぎて、当時のことはあまり詳しく覚えていない。心電図とか血圧計とか色々手術の準備をしてもらって、手術するところを消毒してもらって……なんか青いシートをかぶせられて……で、部分麻酔をして手術開始なのだが。
この部分麻酔の注射がマジで痛い。
一体どんな針でどこに打ってるのかはこちらからは見えないのでほとんどわからないのだが、とにかく痛くてしょうがない。
個人的には歯医者で虫歯治療時に刺される麻酔の15倍くらい痛かった気がする。(元々痛みというか外部からのあらゆる刺激に弱い人間なので余計痛く感じたのかもしれない)
で、その後は執刀医の先生と会話のみでの実況合戦。
「今これこれこういうことしてますよ〜」
「あっ、なんか、すっごい違和感が、違和感が……!」
「次◯◯しますね〜」
「うわ、いや、なんか今喉にものすごい圧迫感が……!?」
みたいな。私が実況したところで「痛み」以外には誰も反応してくれないのが悲しい。
部分麻酔の手術は、気持ち的には控えめに言っても最悪オブ最悪だった。
結局麻酔は手術中追加で3回くらい打ったし、その度にもう麻酔針が痛くて痛くて、最終的には「痛い痛い痛い痛い!!!!!」と四十路の大人が身を捩るような声を出し泣き叫んでいたのだった。
だ っ て 痛 か っ た ん だ も ん 。
手術自体は一時間かからないくらいだったと思うが、地獄だった。なぜ全身麻酔で一息にやってくれないのかと心底呪った。しかし実際に人を呪う訳にもいかないので、手術が無事終わった後は執刀医にちゃんとお礼を言って手術室を後にしたけども。
そして手術が終わった後は、看護師さんから「CVポート」埋め込みに関する諸々の説明を受ける。要約は以下の通りだ。
・私が今回埋め込んだのは株式会社メディコンの「パワーポート」という機種
・点滴、採血、造影剤点滴に対応できるスグレモノ
・今後病院で診察や治療を受ける際は必ず診察券と一緒に患者証である「CVポート埋め込んでますカード」を出すこと
・CVポートを使わない期間でも、定期的に生理食塩水を入れてメンテ(洗浄)する必要有り
・患者証としてシリコンブレスレットもあげるけど、カードがあればあまり使わないかも
こんなところである。
ちなみにポートを埋め込んだのは右の鎖骨下付近だ。前回の抗がん剤は腕からの点滴だったが、次回からはこのポートから点滴することになる。
ああ、また「初めてのこと」だ……嫌だな……となるのであった。とはいえ、これで腕の血管がどうこうという問題からはオサラバ(のはず)だ。
とにもかくにも「がん」というものとその生活様式(?)に慣れていくしかないのだな……とちょっと苦い気持ちになりつつ。
それと、やっぱり治療にあたってくれる様々な医療関係者を信じて、命を預けて身を任せることって、難しいけど大事なことなんだな……と。
未だに「こんな金の掛かることを沢山してまで、生き延びる意味があるのか」とか思ってしまうのだが、こうして一生懸命医療の現場で仕事をしてくれている人たちのわずかながらでも、給料の足しになればいいか……と、とりあえずしばらくの間はそう思っておくことにした。
ちなみにこれを書いている現在は、ポート埋め込み手術から11日くらい経過している。
最初は処方されていた痛み止めを飲んでも傷口が痛い+埋め込んだ物の異物感がすごい、のコンボでしばらく大変だった。重力に従って体内でポートがある程度偏る(?)ので、それがまた地味に痛みを引き起こす。
姿勢に気をつけないといけない。人間の肉体というか筋肉?は本当に全身複雑なシステムなんだなぁ、人体すげぇなあ、と改めて感じた。つまりどういうことかと言うと。何をしてもだいたい痛い、だ。
立ったまま上体を屈めたりしないように、とか。基本的に動作はそっとゆっくり。寝る時はそーっと身体を倒して仰向けになる&そのまま安静推奨! みたいな。
私は手術当日の夜、普通にいつも通り寝ようとベッドに乗って身体をよいしょ、と左側を下にして横寝するためにひねった(?)らマジで手術箇所が痛くてびっくりして、そーっとそーっと重病人が病院のベッドに寝るようにして仰向けになった。
そしてその後は手術痕の痛みが怖くてずっと身体がブルブルガクガク震えていた(こいついつも震えてんな)。
寝返りも打てない(身体を動かすと痛い)ので、しばらくは仰向けでガッチガチのまま寝ていた。安静にする、って案外大変で疲れるんだね。
手術した側の腕もしばらくはなかなか上手く動かせなかった。動かそうとすると手術したところの肉が突っ張る感じがして、地味に痛いのである。
これもしばらくの間、カバンなど重いものを右手で持たない、とか。家具の組み立てみたいな力を入れる作業をしない、とか。辛うじてペンを持って文字を書くとかは初日から出来たけど。皿洗いとか買い出しとか、ちょっと控えとこうか……って最初はなった。
術後10日を越えて、ようやく少し雑に右腕を動かしても痛くないくらいになってきた。ていうか、普段の私は「こんなに自分の身体を無意識とは言え雑に動かしていたのか」と驚く。
(あんまり関係ないかもしれないが、これらの経験を経てふと、ラ・メトリの「人間機械論」を復習したくなった。岩波文庫から出てるみたいだから、今度探してみよう)
ちなみにこの辺の手術後の傷の痛みや腕の動かしにくさへの対処、に関することは病院側からはほとんどサポートというか説明はなかった。多分、するまでもない程の軽微な問題……という感じなのかな。
手術後に病院から「ポート挿入術を受けた患者様へ」みたいな紙はもらったけど、「血流が良くなると出血しやすくなるから、手術当日は湯船に浸かったり酒飲んだりは止めて安静に」とか「手術の傷の周囲が赤く腫れたり出血したりしたら病院に連絡してください」とか、そのくらいだ。
ちなみに私は痛みがキツイと感じた+もらってた痛み止め全部飲んでなくなっちゃう! となったので病院に電話して相談→追加の痛み止めを出してもらった。今も地味にまだ痛むのでその時は痛み止め飲んでる。
前も言ったかもしれないが痛み止め飲んで対処出来そうな痛みなら我慢せずにさっさと痛み止め飲んだ方がいい。たまに医者とかが「え? こんなことで?」みたいな顔するかもしれないけど知ったことか! こっちは痛いのだ。我慢は美徳ではない。これはがんになって得た教訓のひとつ。
さらにどうでもいい情報かもしれないが、私の場合は手術の傷が5cmくらいのものだった。手術から一週間くらい経って、こないだ防水パッドを貼り替えて初めて自分の傷を見た……。意外と傷デカいのね……そりゃ痛いはずだわ……みたいな……。
お世話になってる婦人科がん・乳がん系コミュニティサイトでも、CVポートを運用している人の情報はそれほど多くはではなかったので(まあそういうものなのか?)、自分も記録がてら状況を公開しておこうと思った次第である。
あとどうでもいいけどGoogle検索で「CVポート」って検索窓に入れると「CVポート 寿命」とかいう検索候補挙げてくるのやめろ。
基本的にがんに関して何か検索する時、サジェスト機能はオフにしといた方がいいのかもしれない。いやもっと言うなら普段からオフでもいいくらいだ。オフにしとこ。
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