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#33 放射線治療あれこれ

さて、無事に手術が終わり術後の病理検査も結果が分かったら今度は放射線治療である。 正直、私は放射線治療が面倒だと感じ手術前からそれを回避したくて「手術は全摘で!」と主治医にお願いしていた面もあったのだが……なんと、胸を全摘しても放射線治療をやるということになったのであった。 全摘しても術後の放射線治療をやる可能性はある。 一ヶ月も毎日毎日病院に通うなど面倒臭くてやってられない、全摘すればそれが回避できると(ネットや書籍などの情報から)信じていた私にとってこれは青天の霹靂だった。 後で家族に確認したら「先生前から放射線もやるって言ってたでしょ」と言われたが。 患者本人は意外と(むしろ本人に都合の悪いことは)覚えていないものである。 (なお、放射線治療に加えて手術後は抗がん剤治療も再びやることになってしまい割とゲンナリした。) そんなこんなで放射線治療である。私の場合は手術や治療でお世話になっている病院では放射線治療を行うための設備が無いため、別の大きな総合病院の放射線治療科でやることになった。 何でも私の住んでいる自治体ではそこにしか放射線治療のための設備がなく、そこ以外だと隣の市の病院まで行かねばならないということだった。放射線治療が可能な病院というのは、少ないのかもしれない。 そしてその病院は、私の乳がんが判明した時に「治療を受けたい病院」としてチョイス、最初に紹介してもらった自治体の「がん診療連携拠点病院」でもあった。 その時は紹介状有りでも初診まで二週間待ちということで、「早急に治療を開始したかった&医師にもそう勧められていた」私は現在の乳腺外科に落ち着くこととなったのだが。 まさかこんな時に接点が出て来るとは思わなかった。 放射線治療はまず治療用のCTを撮ることから始まる。治療台に寝て、宇宙船のような機械で写真を撮ったり、技師さんに体にマークを書かれたりと色々なことをされるのである。私の場合は「TrueBeam」という名前の機械だった。 そして無事にCT撮影とそれによるシミュレーション?が終われば治療のスケジュールを組んで開始である。 放射線治療のスケジュールは直前まで確定しないものらしく、午前か午後かの希望くらいは出せたが細かい時間は病院側というか放射線技師側が決める。 私の場合は午後を指定し、無事午後の時間でスケジュールが組めた。巷では午前が人気の時間帯...

#32 浸潤性小葉癌(小葉がん)って何ですか

手術後の病理検査で出て来た「ILC」「浸潤性小葉癌」の話。 始めに断っておくが、浸潤性小葉癌については調べてもあまり情報は出てこなかった。「患者さんのための乳癌診療ガイドライン2019年版」など乳がん関係の本も読んでみたのだが、二言、三言程度の説明があるくらいでこれといった情報はなかった。 「小葉がん」というのがとりあえずどんなものかを解説してくれている論文(PDF)を見つけたので貼り付けておく。30年も前の大変古い論文なのだが、病理のあらましを知るくらいならちょうど良いだろうと思う。 乳腺小葉癌の臨床病理学的検討 https://www.jstage.jst.go.jp/article/ringe1963/54/7/54_7_1712/_pdf また、最近の情報となると京都乳癌研究ネットワーク(KBCRN)の会議資料内にあるリレーミニレクチャー「特殊乳癌の病理」という、スライドをPDF化したものが大変親切で分かりやすかった。 京都乳癌研究ネットワーク(KBCRN)>KBCRNについて https://www.kyoto-breast-cancer.org/jp/about/ 「特殊乳癌の病理」第1回 Invasive Lobular Carcinoma 浸潤性小葉癌 https://www.kyoto-breast-cancer.org/jp/regular/pdf/lecture01.pdf (一部 切り取られた乳房の検体の写真などが出て来る ので、苦手な人は注意) とりあえず、すぐに頭に入って来た浸潤性小葉癌(小葉がん)の情報としては、 ・特殊型乳がん(希少がん)である ・乳がん全体の5〜15%程度の発現(特殊型乳がんとはいえ、その中では一番の多数派) ・(今のところは)乳がんの中の多くを占める非特殊型である「浸潤性乳管癌」に準拠した治療方法を取る ・「浸潤性乳管癌」と転移しそうな場所が若干違う ・がん細胞が細かく散らばる傾向があるので部分切除ではなく全摘がおすすめされることもある ・しばしば両側性 ・古典型と多型型というのがある ・乳管癌、小葉癌の別は予後に影響を与えない(特殊型だからと言って何か身構える必要は「今のところは」無い) くらいだろうか。 なお、私は治療開始前の針生検時には「IDC」すなわち「浸潤性乳管癌」であると判定されていた&主治医も部分切除...

#31 手術から一ヶ月、病理検査の結果が出た

乳がんの手術が終わって退院して自宅に戻って来て、一ヶ月ほどが経過した。割とあっという間の一ヶ月であった。その間何をしていたかと言うと、ひたすらリハビリをしたり、病理検査結果を理解するための情報収集・勉強などをしていた。 意味不明な手術後の病理検査の結果 全摘した左胸をスライスして何だかんだ調べた結果である「病理組織検査報告書」と言う書類をもらったのだが、専門用語というかアルファベットの略語が分からな過ぎて色々調べた。検査結果の順にメモしていく。 「IDCかILCか鑑別するためにE-カドヘリンの免疫染色を行った」 「腫瘍細胞は全体がほぼ陰性」「本検体内では、ILCの所見」 →IDC:「Invasive Ductal Carcinoma」の略、「浸潤性乳管癌」のこと。 →ILC:「Invasive Lobular Carcinoma」の略、「浸潤性小葉癌」のこと。 →E-カドヘリン:上皮細胞の接着分子であり、様々な上皮の構築維持に関与しているタンパク質。浸潤性小葉癌だとこれが働かなくなり、免疫染色においては例外を除いて陰性となることがほとんど。 「標本内では腫瘍細胞は孤立散在性で小葉癌様」 →孤立散在性:小葉癌だと散らばる傾向がある →小葉癌:浸潤性小葉癌。乳がんはその90%ほどが「浸潤性乳管癌」であるという。浸潤性小葉癌はその他の10%にあたる「特殊型」の乳がんであり、その特殊型の中では一番多いタイプ(乳がん全体から見ると約5%を占める、近年増加傾向にある)。 「術前療法の効果:Grade 2a」 →Grade 3でいわゆる「完全奏功」だと聞いた。前向きに解釈すれば、手術前の抗がん剤等は「まあまあ効いた」ということか。 「残存成分の評価でpT1c」 →pT1c:リンパ節転移陽性 「リンパ節転移:1/ 15 (3. 5mm) ypN1a」 →腋窩リンパ節郭清でリンパ節を15個取った、その内の1個に転移していた。 →ypN1a:最大径が2mmを超えるリンパ節転移が1-3個残っていた、という意味。 「Ly1, V0」 →Ly1:リンパ管侵襲の有無、評価。Ly1はリンパ管侵襲有り。 →V0:血管侵襲(静脈侵襲)の有無、評価。V0は血管への侵襲が無い。 「NA3, M1,TF3 → NG2, HGII」 →NA3:N3aと同義か。所属リンパ節への転移の状態を指す。N3aは鎖骨下...

#30 乳房全摘・リンパ郭清 そして術後

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先日、無事に左乳房の全摘手術を終えて退院して来た。私は厳密にはFtM(女性から男性へ、を望む人)ではないのだが、FtM的に言えば「胸オペ」というやつである。まあ、性別適合手術における胸オペと乳がんの手術は目的も用途も全く違うものではあるが。 しかしながら、手術後に無くなった自分の胸(の手術痕)を見て最初に感じたのは「ああー胸オペした人の気持ちが何か分かる気がする」だった。 がんの腫瘍という「悪いもの」を外科的処置で取ってもらい、なおかつ乳房という私にとって「全くもって要らないもの」を取ってもらったのだ。片方だけだけど。棚ボタラッキーってこのことだな、とつくづく思った。 手術をするまでは「入院+全身麻酔+手術」という行為がそもそも人生初であるし怖くて不安でしょうがなかった&こんな体でも、ボディイメージが不可逆的に変わることについて何か気持ち的にあるんじゃないかと思っていたのだけど。 びっくりするほど何も無かった。手術前の自分に言ってやりたい。 「意外とそんなんどうでもいいし大丈夫だった」 と。 日数的には、入院期間は約9日。術後7日目での退院だった。部屋は病院の意向で終始個室であった(なお病院の方針で差額ベッド代は無し)。 以下に入院と手術後の様子をまとめる。 入院1日目 午後14時頃に病院へチェックイン(ホテルではないのだが、適当な言葉が見つからなかった)。手術の説明などを受けていたらあっという間に夕方になっていた。この日はもう20時までにシャワー浴びて終わり。 初めて病院食なるものを食べる。昔から「病院食は味が薄い」などと言われるのを聞いて来たが、味覚障害のある身としては味が薄いとかいうのは全くなかった。むしろ美味しい。 病院のベッドにはあったかいフワフワの毛布が存在しない=掛け布団のみなのだということを知って若干残念な気分になる。ブランケット症候群には忍耐が必要な環境である。 夕飯を食べたら21時から絶食(水のみOK)。明日は丸一日何も食べられない。 入院2日目(手術日) Twitterで散々見た浮腫み対策の「ワープ靴下」を履いていざ手術の準備である。私もワープする時がついに来たのである。 ワープと言えば私はドラマ「新スタートレック」が好きなので心の中でパトリック・スチュワートよろしく「Engage!」と言って手術に臨むことにした。 もしくは映画「インターステラ...

#29 抗がん剤治療中の口腔ケアの選択肢

半年前、抗がん剤治療を開始するにあたって歯医者に行った時「口腔ケアにリステリンがいい」とオススメされてしばらく使っていた。 リステリンはとにかく刺激が強く、味も変なので「なんだかな〜」と思いつつも最初は仕方なく使っていたのだが、ここ数ヶ月はリステリンではなく「コンクールF」という薬用マウスウォッシュのお世話になっていた。 コンクールF www.weltecnet.co.jp 大体1本千円くらいで、コップに少量の水を入れてそこに数滴垂らして希釈して使うタイプのマウスウォッシュだ。 私はこれを2022年10月のアタマに購入し、毎食後の歯磨きに加えて使っていた。説明書に書かれていた内容に沿って、一回に使う量は10滴とした。そのくらいの使用頻度で、ようやく今日ボトルひとつを使い切った。 つまり単純計算で三ヶ月くらいもったことになる。 リステリンと比べて良いと思った部分は主に二つ。 ①刺激が少ない、味も割と軽微 ②かさばらない アルコール含有ではあるものの刺激自体は少なく、ブクブクうがいをした後に変な感じもしない。普通に口の中がスッキリする、くらいの感覚だ。 そして何より、かさばらないのがいい。リステリンは長期間、毎日使うことを考えてお得用の大きなサイズを買っていたのだがこれがまた置き場に困る。 まず洗面台には置けないだろうサイズで、私はいちいち小分けのボトルに中身を移し替えて洗面台に置き、使っていた。正直面倒くさかったのである。 コンクールFのサイズなら、入院時にもサッと荷物に入れて持って行けそうだ。 そして肝心の効果のほどであるが。 正直なところ、こればっかりは分からない。とはいえ、お陰様であるのか抗がん剤の副作用として私は口の中の粘膜系の口内炎はほぼ全くと言ったレベルで出来なかった、と伝えておこう。 逆に、歯茎は結構荒れてしまいそれを完全に予防・抑制することは出来なかった。だが、ある程度の口腔ケアと副作用の予防には役立ったのではないかと思う。 どうしてもダメな時はダメだけれど、防げる部分も確かにある。これ以上ひどくならずに済んで良かったのではないかと思えるのだ。やらないよりはやった方がマシ、というやつである。 ちなみに抗がん剤治療にあたって口腔ケアの抜本的な見直しをした結果、私は少し潔癖症気味になってしまった。食後に歯を磨けないと、口の中のザラつきなどの感覚が非常に不快...

#28 抗がん剤を終えて、最近の症状

2022年12月に、手術前に行う計8クールの抗がん剤治療(AC-DHP療法)を無事に完走した。あとは手術後に分子標的薬のハーセプチン&パージェタを延々14回、1年くらいかけて点滴する予定。 最後の点滴(ドセタキセル・ハーセプチン・パージェタ)から三週間が過ぎ、いい加減副作用も抜けてくるんじゃないかと期待していたのだが……どうやらそういう訳には行かないようだ。 以下に現在の症状や体調・状況をメモする。 ・全身がとにかく痛い、しんどい ・足のむくみ ・目からポロポロ涙が出て止まらない ・冷え、寒気とほてり ・嗅覚過敏が地味にキツい ・首の根元がかぶれてかゆい ・味覚障害→食欲不振 ・手の違和感 ・背中の乾燥→粉吹きがヤバい ・足の裏の皮がボロボロ剥ける ・相変わらず鼻血 ・口角炎未だ治らず ・ほんの小さな虫歯発覚 全身がとにかく痛い、しんどい あまりに毎日痛くてしんどいので、ドセタキセルの直接的な副作用なのか、それとも副作用で寝込んでいる内に根本的な体力が失われた、いわゆる「二次被害」なのか分からなくなって来ている。多分二次被害だと思う。 体が痛くて思うように動かせないので、当然満足に歩けない(健常時の1/3程度のパワーとスピードしかないと言って良いだろう)。しかし体がしんどいからと横になってばかりではますます体力は失われる。悪循環に陥ってしまう。 でもって、横になって寝ていても起きて動いていてもしんどくて「楽な姿勢」というのが全くないのでむしろ少しでも動いて気を紛らわせた方がいいのだと思う。 多少意識的に体を動かす必要がある。きっと手術と術後の回復にも差し支える。 ちなみに抗がん剤治療中から毎日痛み止めを処方の限界量(イブプロフェン200mg)飲んでいるのだが、この手の痛みは引いた試しが無い。 CVポートの埋め込み手術後も痛み止めが効かず追加しても効果が微妙……という有様だったので、やっぱり「体質的に痛みがやたら出やすい・痛みに超敏感」ということなんだと思う。 乳房の手術(全摘予定)後の痛みが今から不安になるレベルである。 足のむくみ 年末年始、調子に乗って塩分を摂り過ぎた&味覚障害からあまり飲み物を飲めなくなったからだと思う。足のむくみの症状・副作用は今まで数える程度しかなかったが、最近は連日である。 散歩などで外を歩くと、突っ張った感じは楽になるというか気にならな...

#27 それでも歩いて行かなくちゃ(物理的な意味で)

タイトルは精神的な意味でのスローガンではない。本当に、物理的な徒歩移動の必要性について、である。 今日、久し振りに散歩をした。去年の初め頃に今の場所に引っ越して来てからその存在こそ知っていたものの、ついぞ利用したことはなかった近場の「市民センター」が目的地であった。 私は元々極度の出不精なのであるが、今回はどうしてもそこへ行かねばならない理由があった。市立図書館で予約を入れていた「借りたい本」が、分館のある市民センターに届いたからである。 私が住んでいる街の市立図書館(本館)は自宅の最寄駅から一駅先、さらにそこから徒歩で15分ほどの寂れた場所にぽつんとある。なので本を借りるためだけにそこへ行く利点やうまみがあまり無い。 しかし最近の(いやだいぶ前からだとは思うが)図書館というのはすごい。一度利用登録をしてしまえば、後はインターネットサービスからオンラインで興味がある借りたい本を選んで予約でき、しかも自宅から歩いて行ける距離にある分館まで本を運んでくれるのである。 ほんの数百円とはいえ、往復の電車代が浮くのは大変嬉しいことだ。 今回初めて訪れて利用してみた市民センターはなかなか良い場所だった。新しめの建物で清潔感があり、本を読んだりするためのフリースペース・机は広め、ノートPC用にコンセントとフリーWi-Fiが完備、すぐ近くには地元の小さなショッピングセンターもある。 というか、逆に設備や立地的にこれだけの「うまみ」や「お膳立て」がないと私はいつまで経っても動かないだろうなと思ったので、今回思い切って利用、実際に出向いてみて良かった。ここでなら、趣味の調べ物も広い机の上でゆったりと出来る。 (本を読むだけなら自宅でも出来ると思うのだが、基本的に本を読む時にはメモ帳やノートに読書メモを書く必要があったりするので、自宅の狭いPCデスクではそれらを満足に広げられず作業するのが億劫なのだ) そんな訳で今後、外を出歩くための「お散歩コース」の目的地にこの市民センターを据えようと思ったのだが。度重なる抗がん剤の投与とその副作用によってこの半年間ほぼほぼ引きこもっていた、そして最近は蓄積したドセタキセルの副作用がキツ過ぎる私にはそこへ歩いて行くのも一大事であった。 歩行速度に関してはこう言ってしまうと当事者に失礼なのかもしれないが、80代のお年寄りでももう少し早く動けるよな? とい...